ボクシングWBCバンタム級チャンピオンの、ノルディ・ウーバーリが13日(日本時間14日)に、コロナウイルスに感染したことが発表されました。
ウーバーリは、2020年12月12日にWBCタイトルマッチでノニト・ドネアと対戦予定でしたが、やむなく中止が決定しました。
現WBCバンタム級チャンピオンのノルディ・ウーバーリと指名挑戦者のノニト・ドネアとの試合は、当初5月16日に米国で開催予定でした。
しかし、コロナウイルス感染拡大の影響で12月に延期になっていました。
さらに、今回のウーバーリのコロナウイルス感染の発表がされる前、別の理由でタイトルマッチが中止になるとの報道がされていました。
その理由とは、「ビザ問題」でした。
12日の報道では、ウーバーリ(フランス)がビザ問題で渡米できない為、ドネアとエマヌエル・ロドリゲスとの暫定王者決定戦が開催されると報じられていました。
しかし、翌日13日に情報を訂正するかたちで、ウーバーリのコロナウイルス感染によるタイトルマッチ中止が報じられました。
ウーバーリが契約するプロモート会社MTKグローバルは、今回の報道を次のように説明しています。
「ウーバーリは新型コロナ陽性だ。それが原因で試合には出られない。ビザは関係ない。これはボクサーの健康と安全の為だ。彼はウイルスに感染しており、ここ2週間ほど効果的にトレーニングができていなかった。ノルディは試合を非常に楽しみにしていた。」
情報が交錯した今回の一件でしたが、ウーバーリを休養王者とし、ドネアとロドリゲスの暫定王者決定戦の勝者とウーバーリによる団体内統一戦が行われる予定となりました。
今回のWBCバンタム級タイトルマッチは、4団体統一を目指す井上尚弥にとっても重要な試合でした。
WBC王座は井上の標的の一つである為、今回の王座決定戦によって今後の挑戦の予定が大きく変わってきます。
井上は昨年(2019年)に開催されたワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)バンタム級大会の試合後、ウーバーリとの試合を熱望していました。
その際の対戦相手だったのが、ノニト・ドネアでした。
今回のWBCタイトルマッチは、井上自身も注目の試合だったはず。
以前自分が対戦して勝利した相手と、対戦を望んでいた相手との試合ともあれば、試合の行方がもちろん気になりますよね。
さらに、王座奪取の他にも井上がウーバーリとの対戦を熱望する理由があります。
それは、弟井上拓真の敗戦でした。
初の兄弟ダブル世界戦として臨んだ、WBC世界バンタム級王座統一戦でウーバーリと井上拓真が対戦し、判定でウーバーリが拓真を下しました。
拓真にとってはデビュー14戦目で初黒星となる、悔しい結果に。
この弟の敗戦があったからこそ、ウーバーリとの対戦にこだわりがあるのかもしれません。
弟が負けた相手に勝利し、WBCの王座につくことが、井上兄弟の目標なのではないでしょうか。
王座統一を果たしたウーバーリは、兄尚弥を次のように分析しています。
「ナオヤはいいファイターでリスペクトに値する。しかし、それだけだ。それ以上でもそれ以下でもない。彼と戦うなら、俺が勝つだろう」
井上の試合を見た後でも、ウーバーリは「自分が勝つ」と強気の意気込みを語っていました。
来年にはウーバーリと井上の対戦が実現か、と思われたが、今回のコロナ騒動で対戦は白紙に戻ってしましました。
ウーバーリの復帰の時期にもよりますが、来年にはWBCバンタム級王座統一戦が行われることでしょう。
その結果を受けて、井上がどう動くかも注目のポイントです。
井上には他団体の王座奪取の選択肢も視野に入れていることでしょう。
今後のバンタム級の王座争いに注目が集まります。